○双葉地方水道企業団職員のハラスメント防止等に関する要綱
(令和7年1月21日訓令第1号) |
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(趣旨)
第1条 この訓令は、職員の利益の保護及び能率の発揮できる良好な職場環境を確保するため、セクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメント、モラル・ハラスメント及び妊娠、出産又は介護に関するハラスメント(以下これらを「ハラスメント」と総称する。)の防止及び排除並びにハラスメントに起因する問題が生じた場合に適切に対応するための措置について、必要な事項を定める。
(定義)
第2条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 職員 双葉地方水道企業団に在職している者をいう。
(2) 職場 職員が職務を遂行する場所及び実質的にその延長線上にあると認められる場所(旅行命令により赴く場所その他職員が通常職務を遂行する場所以外の場所及び親睦会の宴席等職務を遂行する場所における人間関係が実質的に存続している場所を含む。)をいう。
(3) セクシュアル・ハラスメント 職場において行われる性的な言動により、その相手方が不快感を示し、又は抵抗等をしたことで、その相手方の勤務条件に不利益を与え、又は当該性的な言動により、その相手方の職場環境を悪化させること(直接的に性的な言動の相手方となった者に限らず、性的な言動により就業環境を害された全ての職員を含む。)をいう。なお、相手の性的指向又は性自認の状況に関わらないほか、異性に対する言動だけでなく、同性に対する言動も該当する。
(4) パワー・ハラスメント 職務上の地位や人間関係等の職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、継続的に人格や尊厳を侵害する言動を行い、精神的・身体的苦痛を与え、又は職場環境を悪化させることをいう。
(5) モラル・ハラスメント 職員が、職場において他の職員に対し、言葉、態度、身振り、文書等により人格や尊厳を侵害したり、身体の健康及び精神の統合性を損ない、当該職員が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、又は職場環境を悪化させることをいう。
(6) 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント 職場における次に掲げる言動により職場環境を悪化させることをいう。
ア 職員に対して次に掲げる事由に関してする言動
(ア) 妊娠したこと。
(イ) 出産すること。
(ウ) 妊娠又は出産に起因する症状により勤務することができないこと、若しくはできなかったこと、又は能率が低下したこと。
イ 職員に対して妊娠、出産、育児又は介護に関する制度又は措置(以下「制度等」という。)の利用に関してする言動
(7) ハラスメントの防止及び排除 ハラスメントを未然に防ぐとともに、ハラスメントが現に行われている場合には、その行為を制止し、その状態を解消することをいう。
(8) ハラスメント防止対策 ハラスメントの防止及び排除のための措置、ハラスメントに起因する問題が生じた場合に適切に対処するための措置並びに再発防止の措置をいう。
(9) ハラスメントに起因する問題 ハラスメントのため職員の職場環境が害されること及びハラスメントへの対応に起因して職員がその勤務条件等につき不利益を受けることをいう。
(10) 苦情相談等 ハラスメントの当事者となった職員からのハラスメントに係る苦情の申出及び相談並びに第三者からのハラスメントに係る相談及び情報提供をいう。
(所属長の責務)
第3条 所属長は、ハラスメントを防止するため、次に掲げる措置を講じなければならない。
(1) 良好な職場環境を確保するため、日常の業務における指導等を通じ、ハラスメントの防止及び排除に努めること。
(2) 職員から苦情相談等があったとき、又はハラスメントに起因する問題が生じたときは、適切かつ迅速に対応するとともに、再発防止に向けて職員の意識啓発その他の必要な措置を講じること。
(職員の責務)
第4条 職員は、互いの人権を尊重し、働く男女が対等なパートナーであるとの意識の下、次に掲げる事項に留意しなければならない。
(1) ハラスメントに対する認識を深めるとともに、ハラスメントの態様等によっては、服務規律違反に該当するものとして懲戒処分に付される場合があることを認識し、常に自らの言動に注意を払うこと。
(2) ハラスメントが個人のみならず組織の問題であるとの認識を持ち、その解決に向けてハラスメント防止対策が確実に行われるよう積極的に苦情相談等を行うよう努めること。
(所属長が認識すべき事項)
第5条 所属長は、ハラスメントの防止のため、次に掲げる事項を認識しなければならない。
(1) ハラスメントに起因する問題は、直接の被害者に生じる被害等の当事者間の問題のみならず、職場内の人間関係の悪化、士気の低下等の職場又は組織全体に悪影響を及ぼす重大な問題であること。
(2) 職場において指導を行うにあたっては、当該職員の性格及び能力を十分に見極め、適切な言動により行うべきであること。
(3) 達成不可能な業務の強要、私生活への不必要な介入、人権侵害となる恐れがある言動等は、厳に慎むべきであること。
(4) 職員は、上司等の言動に疑問が生じた場合であっても、上司などに対して反論し難い立場であること。
(5) ハラスメントに該当することとなるのは、特定の言動に限られるものではなく、職務に対する取組姿勢、平素の言動その他の総合的な態度がこれに該当する場合があること。
(6) 職員の制度等の利用により、当該職員の周囲の職員の業務負担が増大する場合において、業務体制の見直しその他の必要な措置が講じられないときは、その状況が、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの原因又は背景となること。
(職員が認識すべき事項)
第6条 職員は、ハラスメントを行わないため、次に掲げる事項を認識しなければならない。
(1) セクシュアル・ハラスメントに関する事項
ア 性に関する言動に対する受け止め方は、個人間や男女間で差があり、特定の言動がセクシュアル・ハラスメントに該当するか否かについては、受け手の判断にとどまらず、客観的にも判断されるものであること。
イ 特定の言動がセクシュアル・ハラスメントに該当する場合であっても、地位、職権その他の職場における立場から、受け手において、それを明確に指摘し、又は拒否することができない場合が多いこと。
ウ 相手が拒否し、又は嫌がっていることが分かったときは、同じ言動を繰り返さないように注意する必要があること。
エ 勤務時間外においても、職員間の言動がセクシュアル・ハラスメントとなることのないように注意する必要があること。
オ 職務に従事する際に接することとなる職員以外の者との関係においても、その言動がセクシュアル・ハラスメントとならないように注意する必要があること。
(2) パワー・ハラスメントに関する事項
ア パワー・ハラスメントは、「指導」を名目に、職員の個人としての尊厳を不当に傷つけ、回復困難な精神的損傷を与える恐れがあること。
イ パワー・ハラスメントを行っている職員には、パワー・ハラスメントを行っているという自覚のない場合が多いこと。
ウ 業務と無関係な言動又は指導の範囲を超えた感情に任せた言動は、パワー・ハラスメントに該当する可能性があること。
エ 上司等の特定の言動又は態度がパワー・ハラスメントに該当する場合にあっても、地位、職権その他の職場における立場から、受け手において、それを明確に指摘し、又は拒否することができない場合が多いこと。
(3) 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントに関する事項
ア 制度等及びその利用について、正しい理解を深める必要があること。
イ 妊娠、出産、育児又は介護に関する否定的な言動は、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの原因又は背景になること。
2 職員は、職場の構成員として良好な職場環境を確保するため、次に掲げる事項を認識しなければならない。
(1) ハラスメントについて疑問を提起し、又は責任を追及しようとする職員を問題のある職員とみなしたり、ハラスメントに起因する問題を当事者間の個人的な問題として片づけたりしないこと。
(2) 職場においてハラスメントに起因する問題を生じさせないようにするため、周囲に対し気を配り、必要な行動をとること。
(3) ハラスメントに該当する言動を認知したときは、当該言動をした職員に対して注意を促し、及び当該言動の受け手に声をかけて必要により相談に応じること。
(4) 妊娠若しくは出産をした職員又は制度等を利用する職員は、周囲と円滑なコミュニケーションを図りながら自己の体調又は制度等の利用の状況に応じて適切に業務を遂行していくという意識を持つこと。
3 職員は、ハラスメントによる被害を深刻化させないため、次に掲げる事項を認識しなければならない。
(1) 一人で我慢しているだけでは、問題は、解決しないこと。
(2) ハラスメントの防止及び排除をためらってはいけないこと。
(3) 相手に対し、明確に当該行為又は態度がハラスメントであることを指摘し、又は拒否の意思を表示すること。
(4) 信頼できる上司、同僚その他の職員又は第9条に規定する苦情相談等窓口に相談すること。
[第9条]
(禁止行為)
第7条 全ての職員は、他の職員を業務遂行上の対等なパートナーとして認め、職場における健全な秩序及び協力関係を保持する義務を負うとともに、職場内において次の第1号から第4号に掲げる行為を行ってはならない。また、職員以外の者に対しても、これに類する行為を行ってはならない。
(1) セクシュアル・ハラスメント(第2条第1項第3号の要件を満たした以下のような行為)
ア 性的及び身体上の事柄に関する不必要な質問・発言
イ わいせつ図画の閲覧、配付又は掲示
ウ うわさの流布
エ 不必要な身体への接触
オ 性的な言動により、他の職員の就業意欲を低下せしめ、能力の発揮を阻害する行為
カ 交際・性的関係の強要
キ 性的な言動への抗議又は拒否等を行った職員に対して、解雇、不当な人事考課又は配置転換等の不利益を与える行為
ク その他、相手方及び他の職員に不快感を与える性的な言動
(2) パワー・ハラスメント(第2条第1項第4号の要件を満たした以下のような行為)
ア 殴打又は足蹴りを行ったり、物を投げつける等の身体的な攻撃
イ 人格を否定するような言動、脅迫、名誉毀損又はひどい暴言等の精神的な攻撃
ウ 自身の意に沿わない職員に対して、仕事を外し、長期間にわたり別室に隔離する等の人間関係からの切離し
エ 業務上明らかに不要なことや、遂行不可能なことを強制し、仕事の妨害を行う等の過大な要求
オ 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや、仕事を与えないこと等の過少な要求
カ 本人の性的指向、性自認や病歴などの機微な個人情報について、本人の了解を得ずに他の職員に暴露する等の個の侵害
(3) 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント(第2条第1項第6号の要件を満たした以下のような行為)
ア 部下の妊娠、出産、育児又は介護に関する制度や措置の利用等に関し、解雇その他不利益な取扱いを示唆する言動
イ 部下又は同僚の妊娠、出産、育児又は介護に関する制度や措置の利用を阻害する言動
ウ 部下又は同僚の妊娠、出産、育児又は介護に関する制度や措置を利用したことによる嫌がらせ等
エ 部下が妊娠又は出産等したことにより、解雇その他の不利益な取扱いを示唆する言動
オ 部下又は同僚が妊娠又は出産等したことに対する嫌がらせ等
(4) 他の職員が職場におけるハラスメントを受けている事実を認めながら、これを黙認する行為
(再発防止の義務)
第8条 総務課長は、職場におけるハラスメントの事案が生じたときは、周知の再徹底、研修の実施及び事案発生の原因の分析等、適切な再発防止策を講じなければならない。
(苦情相談等窓口の設置)
第9条 ハラスメントに関する申出及び相談(以下「相談」という。)に対応するため、苦情相談等窓口(以下「窓口」という。)を設置する。
2 窓口及び窓口の担当職員は、総務課総務係長及び双葉地方水道企業団職員労働組合より推薦を受けた職員(以下「職員組合推薦者」という。)とし、当該相談に係る当事者に対する助言等により、当該問題を迅速かつ適切に解決するよう努めるものとする。
3 窓口の担当職員は、相談を受けたときは、ハラスメントに関する相談受付・処理票(別記様式)を作成し、総務課長に報告しなければならない。
4 総務課長は、相談に係る問題を解決することが困難であると判断したときは、相談の問題解決のため、次条に規定するハラスメント対策委員会(以下「対策委員会」という。)の開催を要求するものとする。
(対策委員会の設置等)
第10条 ハラスメントに関する苦情を審議し、公正な処理にあたるため、対策委員会を設置する。
2 対策委員会は、事務局長、総務課長、総務課長補佐、総務係長、職員組合推薦者をもって組織する。
3 委員長は、事務局長をもってこれに充てる。
4 対策委員会は、次に掲げる事項を行う。
(1) 相談の問題解決に関すること。
(2) その他ハラスメントの防止等に関すること。
5 対策委員会は、前項各号に掲げる事項を行うため、必要に応じて関係者に対して事情聴取及び事実確認を行うことができる。
(委員等の義務)
第11条 窓口の担当職員及び対策委員会の委員は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 当事者の名誉及びプライバシー等を侵害することの内容に対処すること。
(2) 当事者の意向を尊重し、解決を押し付けることのないように留意すること。
(3) 当事者に対し二次的なハラスメントが及ばないように留意すること。
2 窓口の担当職員及び対策委員会の委員は、その処理にあたって知り得た秘密を漏らしてはならない。その職から退いた後も、同様とする。
(不利益な取扱いの禁止)
第12条 職員は、ハラスメントに対する拒否、苦情相談等、当該苦情相談等に係る調査への協力その他ハラスメントに係る正当な対応をしたことを理由に、いかなる不利益も受けない。
(対応措置)
第13条 公正な調査により、ハラスメントの事実が確認された場合は、服務規律違反として、必要かつ適切な範囲で、加害者の職員に対して懲戒処分を含む措置を講ずるものとする。
(その他)
第14条 この訓令に定めるもののほか、この訓令の施行に関し必要な事項は、企業長が別に定める。
附 則
1 この訓令は、公布の日から施行する。
2 セクシャル・ハラスメントについての苦情処理要領(平成17年1月6日要領第1号)は、廃止する。